大原孝治のドンキホーテインバウンド需要の対応

2020年の東京オリンピックの開催に向けて、小売業界でも外国からの観光客などがもたらすインバウンド需要を取り込もうとする動きが活発化しています。しかし現状ではすべての取り組みが上手く回っているというわけではなく、やはり会社ごとの経営方針や戦略の違いによって、明暗が分かれてしまう部分があるといえます。なかでもインバウンド需要の取り込みに成功しているとみられるのが、全国にディスカウント店舗などを数多く展開している大原孝治のドンキホーテホールディングスです。グループ全体を統括する持株会社の代表取締役兼CEOにあたる大原孝治氏は、顧客最優先主義にもとづいてニーズを追求していった結果、中国などアジア各国からの観光客の間でのヒットにつながったとしています。

実は同社ではインバウンド需要が注目されるはるか以前から、全国の店舗で免税店の許可を受けていました。これに加えて圧倒的な品揃えと激安な価格設定、エンターテインメント重視のディスプレイなどが、これらの層の支持を集めたとも考えられます。顧客最優先主義というのは実際の店舗における消費行動を注意深く観察していなければ実現が難しいものといえます。もともと同社のプロパーから頭角を現して社長にまで上り詰めた大原孝治氏は、これまでの経験からも現場を熟知しており、そのことが先を見据えた果断な経営判断につながっている面があります。今後とも新規店舗の出店は続くことから、さらなる展開も期待されます。